1.北の国から'93(スキャット)


2.精霊流し

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

去年のあなたの想い出が
テープレコーダーから こぼれています
あなたのためにお友達も
集まってくれました
二人でこさえたおそろいの
浴衣も今夜は一人で着ます
線香花火が見えますか 空の上から

約束通りに あなたの愛した
レコードも一緒に流しましょう
そしてあなたの 舟のあとを
ついてゆきましょう

私の小さな弟が
何にも知らずに はしゃぎまわって
精霊流しが華やかに始まるのです

あの頃あなたがつま弾いた
ギターを私が奏(ひ)いてみました
いつの間にさびついた糸で
くすり指を切りました
あなたの愛した母さんの
今夜の着物は浅黄色
わずかの間に年老いて 寂しそうです

約束通りに あなたの嫌いな
涙は見せずに 過ごしましょう
そして黙って 舟のあとを
ついてゆきましょう

人ごみの中を縫う様に
静かに時間が通り過ぎます
あなたと私の人生をかばうみたいに


3.極光


4.秋桜

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

淡紅の秋桜が秋の日の
何気ない陽溜まりに揺れている
此頃 涙脆くなった母が
庭先でひとつ咳をする
縁側でアルバムを開いては
私の幼い日の思い出を
何度も同じ話くりかえす
ひとりごとみたいに 小さな声で

こんな小春日和の穏やかな日は
あなたの優しさが浸みて来る
明日嫁ぐ私に 苦労はしても
笑い話に時が変えるよ
心配いらないと 笑った

あれこれと思い出をたどったら
いつの日もひとりではなかったと
今更乍ら わがままな私に
唇かんでいます
明日への荷造りに手を借りて
しばらくは楽し気にいたけれど
突然涙こぼし 元気でと
何度も 何度も くりかえす母
ありがとうの言葉をかみしめながら
生きてみます 私なりに
こんな小春日和の穏やかな日は
もう少しあなたの
子供でいさせてください


5.無縁坂

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

母がまだ若い頃 僕の手をひいて
この坂を登る度 いつもため息をついた
ため息つけば それで済む
後だけは見ちゃだめと
笑ってた白い手は とてもやわらかだった

運がいいとか 悪いとか
人は時々 口にするけど
そうゆうことって確かにあると
あなたをみててそう思う

忍ぶ 不忍 無縁坂 かみしめる様な
ささやかな 僕の母の人生

いつかしら僕よりも 母は小さくなった
知らぬまに白い手は とても小さくなった
母はすべてを暦に刻んで
流して来たんだろう
悲しさや苦しさは きっとあったはずなのに

運がいいとか 悪いとか
人は時々 口にするけど
めぐる暦は季節の中で
漂い乍ら過ぎてゆく

忍ぶ 不忍 無縁坂 かみしめる様な
ささやかな 僕の母の人生


6.親父の一番長い日

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

おばあちゃんは夕餉の片付けを終えた時
弟は2階のゆりかごの中で

僕と親父は街頭テレビのカラテ・チョップが
白熱した頃に 妹の誕生を知った

それから親父は 占いの本と辞書と
首っぴきで
実に一週間もかけて

娘のために つまりはきわめて何事もない
ありふれた名前を見つけ出した

お七夜 宮参り 夫婦は自画自賛
可愛いい娘だと はしゃぎ廻るけれど
僕にはひいき目に見ても しわくちゃの失敗作品
やがて彼女を訪れる 不幸に胸を痛めた mm…
兄貴として mm…

妹の生まれた頃の我が家は
お世辞にも 豊かな状態でなかったが

暗闇の中で 何かをきっかけに
灯りが見えることがある
そんな出来事だったろう

親思う心に勝る 親心とやら
そんな訳で妹は ほんのかけらも
みじめな思いをせずに育てられた
ただ顔が親父に似たことを除けば

七五三 新入学 夫婦は狂喜乱舞
赤いランドセル 背負ってか 背負われてか
学校への坂道を 足元ふらふら下りてゆく
一枚のスナップが 今も胸に残ってる mm…
兄貴として mm…

我が家の血筋か 妹も足だけは速くて
学級対抗のリレーの花形で

もっとも親父の応援のすごさに
相手が気おくれをして
随分助けられてはいたが

これも我が家の血筋か かなりの演技派で
学芸会でもちゃんと 役をもらった
親父の喜びは 言うまでもない
たとえその役が 一寸法師の 赤鬼の役であったにしても

妹 才気煥発 夫婦は無我夢中
反抗期を過ぎて お赤飯を炊いて
中学に入れば 多少 女らしくなるかも知れぬと
家族の淡い期待 あっさり裏切られてがっかり mm…
兄貴として mm…

妹の初恋は高校二年の秋
相手のバレー部のキャプテンは よくあるケース

結局言い出せる 筈もなく
枯葉の如く散った これもまたよくあるパターン

彼氏のひとりも いないとは情けないと
親父はいつも 笑い飛ばしては いたが
時折かかる電話を 一番気にしていたのは
当の親父自身だったろう

危険な年頃と 夫婦は疑心暗鬼
些細な妹の言葉に揺れていた
今は我が家の 一番幸せなひととき も少し
このままいさせてと 祈っていたのでしょう mm…
親子として mm…

或る日ひとりの若者が 我が家に来て
“お嬢さんを僕に下さい”と言った
親父は言葉を失い 頬染めうつむいた
いつの間にきれいになった娘を見つめた

いくつもの思い出が 親父の中をよぎり
だからついあんな大声を出させた
初めて見る親父の狼狽 妹の大粒の涙
家中の時が止まった

とりなすお袋に とりつく島も与えず
声を震わせて 親父はかぶりを振った
けれど妹の真実を見た時
目を閉じ深く息をして
小さな声で…

“わかった娘は くれてやる
その変わり一度でいい
うばって行く君を君を殴らせろ”と
言った mm…
親父として mm…

妹の選んだ男に間違いはないと
信じていたのも やはり親父だった
花嫁の父は静かに 娘の手をとり
祭壇の前にゆるやかに立った

ウェディング・ベルが 避暑地の教会に
鳴り渡る時 僕は親父を見ていた
まぎれもない 父親の涙の行方を
僕は一生忘れないだろう

思い出かかえて お袋が続く
涙でかすんだ 目の中に僕は
今までで 一番きれいな妹と
一番立派な 親父の姿を 刻み込もうとしていた mm…
兄貴として mm…
息子として


7.フレディもしくは三教街-ロシア租界にて-

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

フレディ あなたと出会ったのは 漢口
揚子江沿いのバンドで
あなたは人力車夫を止めた
フレディ 二人で 初めて行った レストラン
三教街を抜けて
フランス租界へとランデブー
あの頃私が一番好きだった
三教街のケーキ屋を覚えてる?
ヘイゼルウッドのおじいさんの
なんて深くて蒼い目
いつでもパイプをくゆらせて
アームチェアーで新聞をひろげてた
フレディ あなたも 年老いたらきっと
あんなすてきな おじいさんに
なると思ってたの 本当に思ってたの

フレディ それから レンガ焼きのパン屋の
ボンコのおばあさんの 掃除好きなこと
フレディ 夕暮れの 鐘に十字切って
ポプラの枯葉に埋もれたあの人は一枚の絵だった
本当はあなたと私のためにも
教会の鐘の声は響くはずだった
けれどもそんな夢のすべても
あなたさえも奪ったのは
燃えあがる紅い炎の中を飛び交う戦闘機
フレディ 私はずっとあなたの側で
あなたはすてきな おじんさんに
なっていたはずだった

フレディ あなたと出逢ったのは 漢口


8.償い

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

月末になるとゆうちゃんは薄い給料袋の封も切らずに
必ず横町の角にある郵便局へとび込んでゆくのだった
仲間はそんな彼をみてみんな貯金が趣味のしみったれた奴だと
飲んだ勢いで嘲笑ってもゆうちゃんはニコニコ笑うばかり

僕だけが知っているのだ彼はここへ来る前にたった一度だけ
たった一度だけ哀しい誤ちを犯してしまったのだ
配達帰りの雨の夜横断歩道の人影に
ブレーキが間にあわなかった彼はその日とても疲れてた

人殺しあんたを許さないと彼をののしった
被害者の奥さんの涙の足元で
彼はひたすら大声で泣き乍ら
ただ頭を床にこすりつけるだけだった

それから彼は人が変わった何もかも
忘れて働いて働いて
償いきれるはずもないがせめてもと
毎月あの人に仕送りをしている

今日ゆうちゃんが僕の部屋へ泣き乍ら走り込んで来た
しゃくりあげ乍ら彼は一通の手紙を抱きしめていた
それは事件から数えてようやく七年目に初めて
あの奥さんから初めて彼宛に届いた便り

「ありがとうあなたの優しい気持ちはとてもよくわかりました
だからどうぞ送金はやめて下さいあなたの文字を見る度に
主人を思い出して辛いのですあなたの気持ちはわかるけど
それよりどうかもうあなたご自身の人生をもとに戻してあげて欲しい」

手紙の中身はどうでもよかったそれよりも
償いきれるはずもないあの人から
返事が来たのがありがたくてありがたくて
ありがたくて ありがたくて ありがたくて

神様って思わず僕は叫んでいた
彼は許されたと思っていいのですか
来月も郵便局へ通うはずの
やさしい人を許してくれてありがとう

人間って哀しいねだってみんなやさしい
それが傷つけあってかばいあって
何だかもらい泣きの涙がとまらなくて
とまらなくて とまらなくて とまらなくて


9.まほろば

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

春日山から飛火野辺り
ゆらゆらと影ばかり泥む夕暮れ
馬酔木の森の馬酔木に
たずねたずねた 帰り道

遠い明日しか見えない僕と
足元のぬかるみを気に病む君と
結ぶ手と手の虚ろさに
黙り黙った 別れ道

川の流れは よどむことなく
うたかたの時 押し流してゆく
昨日は昨日 明日は明日
再び戻る今日は無い

例えば君は待つと
黒髪に霜のふる迄
待てると云ったがそれは
まるで宛て名のない手紙

寝ぐらを捜して鳴く鹿の
後を追う黒い鳥鐘の声ひとつ
馬酔の枝に引き結ぶ
行方知れずの懸想文

二人を支える蜘蛛の糸
ゆらゆらと耐えかねてたわむ白糸
君を捨てるか僕が消えるか
いっそ二人で落ちようか

時の流れは まどうことなく
うたかたの夢 押し流してゆく
昨日は昨日 明日は明日
再び戻る今日は無い

例えば此処で死ねると
叫んだ君の言葉は
必ず嘘ではない
けれど必ず本当でもない

日は昇り 日は沈み振り向けば
何もかも移ろい去って
青丹よし平城山の空に満月


10.療養所


11.風に立つライオン

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

突然の手紙には驚いたけど嬉しかった
何より君が僕を怨んでいなかったということが
これから此処で過ごす僕の毎日の大切な
よりどころになります ありがとう ありがとう

ナイロビで迎える三度目の四月が来て今更
千鳥ヶ淵で昔君と見た夜桜が恋しくて
故郷ではなく東京の桜が恋しいということが
自分でもおかしい位です おかしい位です

三年の間あちらこちらを廻り
その感動を君と分けたいと思ったことが沢山ありました

ビクトリア湖の朝焼け 100万羽のフラミンゴが
一斉に翔び発つ時 暗くなる空や
キリマンジャロの白い雪 草原の象のシルエット
何より僕の患者たちの 瞳の美しさ

この偉大な自然の中で病いと向かい合えば
神様について ヒトについて 考えるものですね
やはり僕たちの国は残念だけれど
何か大切な処で道を間違えたようですね

去年のクリスマスは国境近くの村で過ごしました
こんな処にもサンタクロースはやって来ます 去年は僕でした
闇の中ではじける彼等の祈りと激しいリズム
南十字星 満天の星 そして天の川

診療所に集まる人々は病気だけれど
少なくとも心は僕より健康なのですよ
僕はやはり来てよかったと思っています
辛くないと言えば嘘になるけど しあわせです

あなたや日本を捨てた訳ではなく
僕は「現在」を生きることに思い上がりたくないのです

空を切り裂いて落下する滝のように
僕はよどみない生命を生きたい
キリマンジャロの白い雪 それを支える紺碧の空
僕は風に向かって立つライオンでありたい

くれぐれも皆さんによろしく伝えて下さい
最后になりましたが あなたの幸福を
心から遠くから いつも祈っています

おめでとう さようなら


12.防人の詩

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

おしえてください
この世に生きとし生けるものの
すべての生命に限りがあるのならば
海は死にますか 山は死にますか
風はどうですか 空もそうですか
おしえてください

私は時折苦しみについて考えます
誰もが等しく抱いた悲しみについて
生きる苦しみと 老いてゆく悲しみと
病いの苦しみと 死にゆく悲しみと
現在の自分と

答えてください
この世のありとあらゆるものの
すべての生命に約束があるのなら
春は死にますか 秋は死にますか
夏が去る様に 冬が来る様に
みんな逝くのですか

わずかな生命のきらめきを信じていいですか
言葉で見えない望みといったものを
去る人があれば 来る人もあって
欠けてゆく月も やがて満ちて来る
なりわいの中で

おしえてください
この世に生きとし生けるものの
すべての生命に限りがあるのならば

海は死にますか 山は死にますか
春は死にますか 秋は死にますか
愛は死にますか 心は死にますか
私の大切な故郷もみんな
逝ってしまいますか

海は死にますか 山は死にますか
春は死にますか 秋は死にますか
愛は死にますか 心は死にますか
私の大切な故郷もみんな
逝ってしまいますか


13.天までとどけ

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

出逢いはいつでも 偶然の風の中
きらめく君 僕の前に
ゆるやかに立ち止まる
懐しい風景に 再びめぐり逢えた
そんな気がする 君の胸に
はるかな故郷の風

舞いあがれ 風船の憧れの様に
二人の明日 天までとどけ

ようこそ ようこそ
ようこそ僕の街へ ようこそこの愛へ

ふれあいのかけらが 人生を変えてゆく
ことばでなく ものでもない
ひとつの出会いから
君さえ許せば 僕の愛する街が
胸ときめかせ 君のふるさとに
なりたがっている

舞いあがれ 風船の憧れの様に
二人の明日 天までとどけ

舞いあがれ 風船の憧れの様に
二人の愛 天までとどけ
ようこそ ありがとう
ようこそ僕の街へ ようこそこの愛へ


14.雨やどり

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

それはまだ私が神様を信じなかった頃
9月のとある木曜日に雨が降りまして
こんな日に素敵な彼が現れないかと
思ったところへあなたが雨やどり

すいませんねと笑うあなたの笑顔
とても凛凛しくて
前歯から右に四本目に虫歯がありまして
しかたがないので買ったばかりの
スヌーピーのハンカチ
貸してあげたけど 傘の方が良かったかしら

でも爽やかさがとても素敵だったので
そこは苦しい時だけの神だのみ
もしも もしも 出来ることでしたれば
あの人にも一度逢わせて ちょうだいませませ

ところが実に偶然というのは
恐ろしいもので 今年の初詣でに
私の晴着の裾踏んづけて
あ こりゃまたすいませんねと笑う
口元から虫歯がキラリン
夢かと思って ほっぺつねったら 痛かった

そんな馬鹿げた話は
今まで聞いたことがないと
ママも兄貴も死ぬ程に笑いころげる 奴らでして
それでも私が突然 口紅などつけたものだから
おまえ大丈夫かと おでこに手をあてた

本当ならつれて来てみろという
リクエストにお応えして
5月のとある水曜日に彼を呼びまして
自信たっぷりに紹介したらば
彼の靴下に 穴がポカリ
あわてて おさえたけど しっかり見られた

でも爽やかさが とても素敵だわとうけたので
彼が気をよくして急に
もしも もしも 出来ることでしたれば
この人をお嫁さんにちょうだいませませ

その後 私 気を失ってたから
よくわからないけど
目が覚めたらそういう話が すっかり出来あがっていて
おめでとうって言われて も一度気を失って
気がついたら あなたの腕に 雨やどり


15.恋愛症候群-その発病及び傾向と対策に関する一考察-


16.関白宣言

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

お前を嫁にもらう前に 言っておきたい事がある
かなりきびしい話もするが 俺の本音を聴いておけ
俺より先に寝てはいけない
俺より後に起きてもいけない
めしは上手く作れ いつもきれいでいろ
出来る範囲で構わないから
忘れてくれるな仕事も出来ない男に
家庭を守れるはずなどないってこと
お前にはお前にしか できないこともあるから
それ以外は口出しせず黙って俺についてこい

お前の親と俺の親と どちらも同じだ大切にしろ
姑小姑かしこくこなせ たやすいはずだ愛すればいい
人の陰口言うな聞くな
それからつまらぬシットはするな
俺は浮気はしない たぶんしないと思う
しないんじゃないかな ま、ちょっと覚悟はしておけ
幸福は二人で 育てるもので
どちらかが苦労して つくろうものではないはず
お前は俺の処へ 家を捨てて来るのだから
帰る場所は無いと思え これから俺がお前の家

子供が育って 年をとったら
俺より先に死んではいけない
例えばわずか一日でもいい
俺より早く逝ってはいけない
何もいらない俺の手を握り
涙のしずくふたつ以上こぼせ
お前のお陰でいい人生だったと
俺が言うから必ず言うから
忘れてくれるな 俺の愛する女は
愛する女は 生涯お前ひとり
忘れてくれるな 俺の愛する女は
愛する女は 生涯お前ただ一人


17.パンプキン・パイとシナモン・ティー

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

二丁目の交差点から17軒目で
時々走って2分と15秒
平均112.3歩目に我等の
コーヒー・ベーカリー「安眠」がある

お人好しのマスター三十六 独身の理由は
引っ込み思案で 照れ屋でまぬけの 複雑な性格による
コーヒーは確かにうまい でも僕等男には
理解出来ないが娘等は ここのかぼちゃパイが 美味しいという

パンプキン・パイとシナモン・ティーに
バラの形の角砂糖ふたつ
シナモンの枝でガラスに三度
恋しい人の名を書けば
愛が叶えられると 娘等は信じてる

ミス・パンプキンのいつもの座席は
窓際のゴムの木の向う側
背は高からず 低からず 容姿端麗
彼女は僕等の憧れの的

実は不敵にもマスターがこのマドンナに恋をした
まぬけないじらしさ見たさに
授業を抜け出して来てるのに
ちっともらちがあかないマスターは
照れ屋でまぬけだから
たった一言かけた言葉が
事もあろうに「毎度ありがとう」

日頃のお世話に感謝をこめて
僕等はまたまた授業抜け出して
シナモンの枝でガラスにラブ・レター
ミス・パンプキンに差し出した
ところが急に店を飛び出した彼女の
背中とマスターの半ベソ交互に見くらべ
僕等は立場失くして
ひたすらうろたえた

それからしばらくしてマスターは
お陰さまで嫁さんをもらった
相手がミス・パンプキンかどうかは
ああいう性格だから白状しなかった

ただそれから僕等の待遇が
良くなった事と
僕等の追試が決まった事の
他には変わりは無い
2代目ミス・パンプキンはなかなか現われないけれど
此頃すこうし僕等にもかぼちゃパイの
味が解ってきたところ

パンプキン・パイとシナモン・ティーに
バラの形の角砂糖ふたつ
シナモンの枝でガラスに三度
恋しい人の名を書けば

パンプキン・パイとシナモン・ティーに
バラの形の角砂糖ふたつ
シナモンの枝でガラスに三度
恋しい人の名を書けば


18.交響楽

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

煙草をくわえたら 貴方のことを
突然思い出したから
涙の落ちる前に故郷(くに)へ帰ろう
町の居酒屋のヴァイオリン弾きや
似顔絵描きの友達も
今はもういない 古い町へ

今でもそこに あなたがいたら
僕は何ていうだろう
あなたに逢うには 使い残した
時間があまりに 軽すぎて

悔やんではいないよ
想いはつのっても そうさ昔は昔

今から思えば 貴方がワグナーの
交響楽を聞きはじめたのが
二人の別れてゆく 兆になった
何故ならそれから あなたは次第に
飾ることを覚えたから
確かに美しくなったけれど

見栄えのしないおもちゃに飽きた
あなたがいけない訳じゃない
新しい風に その身をまかせ
子供が大人になっただけ

悔やんではいないよ
想いはつのっても そうさ昔は昔

そうさ昔は昔


19.微熱

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

君が聴こえる 君の鼓動が聴こえる
とても静かに 波が押し寄せて来る
生まれる前から 出会っていたかの様に
とても自然に 君の名前が呼べる
その眼を閉じて 言葉を閉じて
空から愛 降り注いでいる 今
てのひらに 感じている 微熱
(DAY & NIGHT NIGHT & DAY)
君の事しか 見えない

君が伝わる 君の鼓動が伝わる
この手を伸ばせば 君の心に届く
可笑しい位 ひどくうろたえている
生まれ変わっても 出会えるとさえ思う
たとえこの世が 明日終わろうと
めぐりあいそして 君を愛せると 今
てのひらに感じている 微熱
(DAY & NIGHT NIGHT & DAY)
君の事しか 見えない

(DAY & NIGHT NIGHT & DAY)
君の事しか 見えない


20.縁切寺

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

今日鎌倉へ行って来ました
二人で初めて歩いた町へ
今日のあの町は人影少なく
想い出に浸るには十分過ぎて
源氏山から北鎌倉へ
あの日と同じ道程で
たどりついたのは 縁切寺

ちょうどこの寺の山門前で
きみは突然に泣き出して
お願いここだけは 止してあなたとの
糸がもし切れたなら 生きてゆけない
あの日誰かに 頼んで撮った
一枚きりの一緒の写真
納めに来ました 縁切寺

君は今頃 幸せでしょうか
一度だけ町で 見かけたけれど
紫陽花までは まだ間があるから
こっそりと君の名を 呼ばせてください
人の縁とは 不思議なもので
そんな君から 別れの言葉
あれから三年 縁切寺


21.夢

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

あなたの腕の中が
狭くなった訳ではなく
私があなたの夢を閉じこめる
狭い篭になるのが怖いから

さよなら そう書きかけて
迷ったあげくの置き手紙
あなたに逢えた倖せなんて
月並みな言葉しか浮かばない

※人は誰でも無器用で
悲しくなる位無器用で
けれども誰にも夢があり
ぎこちない様な愛がある
私の夢はあなた
へたくそだけど 愛してた※

夢ならいつか覚めるよと
笑ったあなたが哀しかった
優し過ぎたら届かない
けど優しくなければ 夢じゃない

あなたは夢の大空を
高く高く飛んで欲しい
私が涙をもしも流すなら
あなたの翼が見えなくなってから

(※くり返し)

私の夢はあなた
へたくそだけど 愛してた


22.修二会

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

春寒の弥生三月花まだき
君の肩にはらり 良弁椿
ここは東大寺 足早にゆく人垣の
誰となく独白く南無観世音 折から名残り雪

君の手は 既に凍り尽くして居り
その心 ゆらり他所(よそ)にあり
もはや二月堂 天も焦げよと松明の
炎見上げつつ何故君は泣く 雪のように火の粉が降る

走る 火影 揺れる君の横顔
燃える 燃える 燃える おたいまつ 燃える

過去帳に 青衣(しょうえ)の女人の名を聴けば
僕の背に 君の香りゆらめく
ここは女人結界 君は格子の外に居り
息を殺して聴く南無観世音 こもりの僧の沓の音

ふり向けば 既に君の姿はなく
胸を打つ痛み 五体投地
もはやお水取り やがて始まる達陀(だったん)の
水よ清めよ 火よ焼き払えよ この罪この業(カルマ)

走る 火影 揺れる あふれる涙
燃える 懲える 燃える 松明 燃える
走る 火影 揺れる あふれる涙
燃える 燃える 燃える 松明 燃える


23.向い風

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

たそがれ時の窓辺の席で
あなたはじっと海を見てる
私はじっとあなたを見てる
水平線の名残りの紅で
煙草に火をつけたときあなたに
好きな人が居る事 わかった

風は今 向い風
私の心を押し戻す
ちぎれ雲がひとり踊ってる
でも悲しい恋と笑わないで
倖せの形くらい 私に決めさせて

海岸線に滞るテールランプ
あなたの右手の煙草の火がふと
赤信号に見えた気がした
もしもあなたが赤い夕陽で
私が雲なら染まるだけでいい
そんな恋もある事 わかった

風は今 向い風
私の心を押し戻す
かもめが風に逆らって
孤独な空に帰って行った
倖せの形くらい 私に決めさせて
倖せの形くらい 私に決めさせて


24.黄昏迄

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

海を見下ろす丘の上は
何時でも向い風が吹いて
空と海の青と思い出とが一列に並ぶ

君が愛していた仔犬は
あれから大きく育って
今僕の側で一緒に海鳴りを聴いてる

黄金色の波の上を帆影がひとつ
ふたつ港へと還ってゆく

昔君と約束していた
二人して年老いたならば
世界中を船で廻ろうと
飽きる程一緒に居ようと

突然に海に帰った君を
追いかけて僕の心が鴎になって舞い上がる

黄昏迄風に吹かれたい
ぬくもりを懐かしむ様に
寄せて返す波を見ていたい
いつまでも漂いたい

黄昏迄海を見ていたい
ぬくもりを懐かしむ様に
寄せて返す君を見ていたい
いつまでもいつまでも


25.主人公

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

時には 思い出ゆきの
旅行案内書にまかせ
「あの頃」という名の
駅で下りて「昔通り」を歩く
いつもの喫茶には まだ
時の名残りが少し
地下鉄の 駅の前には
「62番」のバス
鈴懸並木の 古い広場と
学生だらけの街
そういえば あなたの服の
模様さえ覚えてる
あなたの眩しい笑顔と
友達の笑い声に
抱かれて私はいつでも
必ずきらめいていた

「或いは」「もしも」だなんて
あなたは嫌ったけど
時を遡る切符があれば
欲しくなる時がある
あそこの別れ道で選びなおせるならって…
勿論 今の私を悲しむつもりはない
確かに自分で選んだ以上精一杯生きる
そうでなきゃ あなたにとても
とてもはずかしいから
あなたは教えてくれた 小さな物語でも
自分の人生の中では 誰もがみな主人公
時折り思い出の中で
あなたは支えてください
私の人生の中では私が主人公だと


26.道化師のソネット

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

笑ってよ 君のために 笑ってよ 僕のために
僕達は小さな舟に 哀しみという荷物を積んで
時の流れを下ってゆく舟人たちのようだね
君のその小さな手には 持ちきれない程の哀しみを
せめて笑顔が救うのなら 僕は道化師になれるよ
笑ってよ 君のために 笑ってよ 僕のために
きっと誰もが 同じ河のほとりを歩いている

僕らは別々の山を それぞれの高さ目指して
息もつかずに登ってゆく 山びと達のようだね
君のその小さな腕に 支えきれない程の哀しみを
せめて笑顔が救うのなら 僕は道化師になろう
笑ってよ 君のために 笑ってよ 僕のために
いつか真実に 笑いながら話せる日がくるから

笑ってよ 君のために 笑ってよ 僕のために
笑ってよ 君のために 笑ってよ 僕のために


27.案山子

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

元気でいるか 街には慣れたか
友達出来たか 寂しかないか お金はあるか
今度いつ帰る

城跡から見下せば 蒼く細い河
橋のたもとに 造り酒屋のレンガ煙突
この町を綿菓子に染め抜いた雪が消えれば
お前がここを出てから初めての春

手紙が無理なら 電話でもいい
「金頼む」の一言でもいい
お前の笑顔を待ちわびる
おふくろに聴かせてやってくれ

元気でいるか 街には慣れたか
友達出来たか 寂しかないか お金はあるか
今度いつ帰る

山の麓煙吐いて列車が走る
凩が雑木林を転げ落ちて来る
銀色の毛布つけた田圃にぽつり
置き去られて雪をかぶった 案山子がひとり

お前も都会の雪景色の中で
丁度 あの案山子の様に
寂しい思いしてはいないか
体をこわしてはいないか

手紙が無理なら 電話でもいい
「金頼む」の一言でもいい
お前の笑顔を待ちわびる
おふくろに聴かせてやってくれ

元気でいるか 街には慣れたか
友達出来たか 寂しかないか お金はあるか
今度いつ帰る

寂しかないか お金はあるか
今度いつ帰る


28.予約席

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

かなしいね やさしいね
生きているって すごいね
泣かないで 負けないで
私 生きてみるから

花の降る午後に 春は暮れてゆく
光咲く夏は 海へと帰ってく
人は一体 生きてるうちに
いくつの「さよなら」を言えばいいのだろう
あなたの笑顔に 出会えなかったら
今でも私は「さよなら」に縛られて
誰かが待っていてくれること
信じなかったと思う
もしかしたら こんな私でさえ
誰かが求めてる
いつか誰かの 支えになれる
場所があると思う

かなしいね やさしいね
生きているって すごいね
泣かないで 負けないで
私 生きてみるから

山を染め乍ら 秋は去ってゆく
積もった雪なら いつか消えてゆく
人は決して独りきりで
生きている訳じゃない
いつかきっと こんな私でさえ
誰かが待っている
私の為の 予約席がある
それを信じてる

かなしいね やさしいね
生きているって すごいね
がんばって がんばって
私 生きてゆくから

かなしいね やさしいね
生きているって すごいね
泣かないで 負けないで
私 生きてみるから


29.関白失脚

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

お前を嫁に もらったけれど 言うに言えないことだらけ
かなり淋しい話になるが 俺の本音も聞いとくれ
俺より先に寝てもいいから 夕飯ぐらい残しておいて
いつもポチと二人 昨日のカレー チンして食べる
それじゃあんまり わびしいのよ
忘れていいけど 仕事も出来ない俺だが
精一杯がんばってんだよ 俺なりに それなりに
La la la…

父さんみたいに なっちゃ駄目よと
お前こっそり子供に言うが 知ってるぞ
飯を食らっちゃ寝 起きてワイドショー見ちゃ寝
井戸端会議しちゃ寝 よく夜寝られるなぁ
ムダなダイエット ムダな体重計
本気でヤセたきゃ あんなに食べなきゃいいのに
それからあれだぞ テレフォンショッピング 買い物ぐらい 体動かせ
それぞれご不満もおありのことと思うが
それでも家族になれて よかったと俺思ってるんだ

そして今日も君たちの笑顔 守る為に 仕事という名の 戦場へ往く
右に定期券 左に生ゴミ 人は私を哀れだと言うけれど
俺には俺の幸せがある
君たちの幸せの為なら 死んでもいいと誓ったんだ
それだけは疑ってくれるな 心は本当なんだよ
世の中思いどおりに 生きられないけれど
下手くそでも一所懸命 俺は生きている
俺が死んだあと いつの日か 何かちょっと困った時にでも
そっと思い出してくれたなら きっと俺はとても幸せだよ

がんばれ がんばれ がんばれ みんな
がんばれ がんばれ がんばれ みんな
がんばれ

がんばれ がんばれ がんばれ みんな
がんばれ がんばれ がんばれ みんな
がんばれ がんばれ がんばれ みんな
がんばれ がんばれ がんばれ みんな
がんばれ

がんばれ がんばれ みんな
がんばれ


30.チャンス

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

※さあ みんなで世界を作り直そう
一人は小さいけれど きっとまだ間に合うはず
さあ みんなで笑顔から始めよう
泣きながら笑えばいい 怒りながら笑えばいい※

チャンス それは誰にも
チャンス 平等にきっと
チャンス 与えられるべきもの 信じていいよ
チャンス ひとりひとりが
チャンス 生まれながらに
チャンス 選ばれた者たち

さあ 初めは「こころ」で願うことから
歩き始めたら二度と 道に迷わぬよう
さあ 自分で選んだ道 信じよう
疲れることばかりでも 泣くのはたどりついてから

チャンス それは誰にも
チャンス いつの日もきっと
チャンス 隣りを歩いている 気づいておくれ
チャンス 手をさしのべて
チャンス あきらめないで
チャンス 抱きしめてこの生命(いのち)

(※くり返し)

チャンス それは誰にも
チャンス 平等にきっと
チャンス 与えられるべきもの 信じていいよ
チャンス ひとりひとりが
チャンス 生まれながらに
チャンス 選ばれた者たち だから
チャンス それは誰にも
チャンス 平等にきっと
チャンス 与えられるべきもの 信じていいよ
チャンス ひとりひとりが
チャンス 生まれながらに
チャンス 選ばれた者たち It's a Chance


31.長崎小夜曲'90


32.あなたが好きです

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

何故かこの世に生まれた事だけで
不思議なドラマだから
さらにあなたと出会えた喜びを
あえて奇跡と呼びたい

※見えない糸をたぐり寄せて
互いの時を重ね合って
言葉でうまく言えないけど
あなたが好きです※

精一杯に歩き続けている
あなたをきれいだと思う
そんなあなたを愛せる自分を
とても幸福だと思う

言葉にすれば何もかもが
美しい嘘に聞こえるけど
あらゆる誤解を怖れずに
あなたが好きです

(※くり返し)


33.デイジー

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

君から言い出した別れなのに
さよならの響きに自分で驚いて
ふたつほど大きなため息ついて
あふれそうな涙こらえてる

も一度抱きしめて欲しいなんて
ぬくもりの中で恋を見送らせてと
最后の我侭君の髪の匂いの
向こうで揺れてた はち植えの デイジー

※忘れないで 僕だけは君の味方
たとえ別れても愛は変わらない
忘れないで いつまでも君の味方
たとえ世界を敵に回しても※

僕の胸に頬を 埋めたまま
出会った時の僕の台詞真似てみせて
決して未練じゃないよと前置きして
昔の事いくつか数えたあと

窓辺まで歩いて振り返って
愛なんて言葉がもどかし過ぎる程
愛してたと最后の台詞 君と
逆光線に 揺れてた デイジー

(※くり返し)

君から言い出した別れなのに
さよならの響きに自分で驚いて
愛してたと最后の台詞 君と
逆光線に 揺れてた はち植えの デイジー


34.しあわせについて

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

しあわせですか しあわせですかあなた今
何よりそれが何より一番気がかり
みんなみんなしあわせになれたらいいのに
悲しみなんてすべてなくなればいいのに

どうぞあやまちは
二度とくり返さずに
あなたは必ず しあわせになってください
愛する人と めぐり逢えたら
抱きしめた腕を ゆるめてはいけない

風は移り気 身を任せてはいけないよ
時を越えて変わらないのが愛だよ
みんなみんなあなたが教えてくれた
生きる喜び人を愛する喜び

ありがとうさよなら
生まれ変われたならば
やっぱりあなたと 愛し合いたいと思う
ひたむきな人と 愛を信じて
生きがいを咲かせ しあわせになりたい

ひとりひとりは 皆とても優しいのに
何も傷つけ合う事などないのに
みんなみんなしあわせになれたらいいのに
悲しみなんてすべてなくなればいいのに

しあわせですか しあわせですかあなた今
何よりそれが何より一番気がかり
しあわせですか しあわせですかあなた今
何よりそれが何より一番気がかり


35.奇跡~大きな愛のように~

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

どんなにせつなくても 必ず明日は来る
ながいながい坂道のぼるのは あなた独りじゃない

僕は神様でないから 本当の愛は多分知らない
けれどあなたを想う心なら 神様に負けない
たった一度の人生に あなたとめぐりあえたこと
偶然を 装いながら奇跡は いつも近くに居る

ああ大きな愛になりたい あなたを守ってあげたい
あなたは気付かなくても いつでも隣を歩いていたい

どんなにせつなくても 必ず明日は来る
ながいながい坂道のぼるのは あなた独りじゃない

今日と未来の間に 流れる河を夢と言うなら
あなたと同じ夢を見ることが 出来たならそれでいい
僕は神様でないから 奇跡を創ることは出来ない
けれどあなたを想う奇跡なら 神様に負けない

ああ大きな愛になりたい あなたを守ってあげたい
あなたは気付かなくても いつでも隣を歩いていたい
ああ大きな夢になりたい あなたを包んであげたい
あなたの笑顔を守る為に多分僕は生まれて来た

どんなにせつなくても 必ず明日は来る
ながいながい坂道のぼるのは あなた独りじゃない


36.ひまわり

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

人は誰も 心に 花の種を
抱いて生きているんだよと
あなたの口癖や声の響きが
このごろとても恋しい
夢見て咲いているのなら 菫
密やかに咲くのなら 野菊
人を傷つけてしまう 紅い薔薇
散ってゆくのなら 桜
それから私に あんな風に咲けよと
指さした花は 一輪の ひまわり
背すじを伸ばして 憧れだけをみつめ
ひと夏を力の限り 明るく咲く花
私はその時 本当にそんな風に
生きてゆきたいと 心から思った

いつまでもあなたを愛していると
あの日約束したでしょう
はるかな時の流れを越えてまだ
約束を守ってます
あなたと暮らした懐かしい町を
独り遠く離れて
海辺に色とりどりの花が咲く
風の街で 咲いてます
鳥よあの人に 出会ったら伝えてよ
ひまわりの様に 私は生きていると
背すじを伸ばして 憧れだけをみつめ
一日を力の限り 明るく生きてる

鳥よあの人に 出会ったら伝えてよ
ひまわりの様に 私は生きてる
背すじを伸ばして あなただけをみつめ
約束どおりに 明るく咲いてる